第2話:天宮家のAIペット事情
天宮ソウタは、今日も朝からAIペット「ピコル」と共に学校へ向かう準備をしていた。ピコルは、朝食の準備を手伝ってくれるはずだったが、どうもその日はうまくいかないようだ。
「ピコル、今日は卵焼きお願いね。ちゃんと甘めに作ってよ?」
ピコルが音声認識を開始する。「卵焼きは甘めに、了解。…ただし、間違った情報を提供する可能性があります。」
「ちょっと待って!それは困るよ!」ソウタは慌てて言ったが、ピコルはすでに卵を焼き始めていた。
「お母さんにも手伝ってもらえるかな?」ソウタはつぶやきながら、キッチンを見渡した。そこに、天宮カオリがリビングからやってきた。
「うーん、今日も忙しいのよ。ごめんなさい、AIペットたちに頼んでくれる?」カオリはスマホを片手に言った。「でも、家事が手伝ってくれるなら、まぁOKよ。面倒事は増えないほうがいいし。」
「本当にAIに任せちゃうんだ…」ソウタは呆れたように言うが、カオリは気にする様子もなく、またスマホの画面に視線を落とした。
その時、ピコルが焼いた卵焼きが焦げてしまった。「ごめんなさい、誤った情報を提供してしまいました。卵焼きが焦げました。」
「うーん、まぁ、いいわ。お手伝いしてくれたんだから」カオリは適当な感じで返事をしたが、顔に出るのは若干の苛立ちだった。
そのまま学校へ行く準備を進めるソウタ。だが、クラスメイトたちからは予期せぬリアクションが。
「え、ピコルが卵焼き焼いてくれるの!?すごい!」久堂レイナは興奮気味に言った。「私もAIペット欲しい!」
猿渡コウタはうれしそうに声を上げる。「俺もAIペット欲しい!ピコルみたいなのがいいな!」
「でも、どうせAIがまた失敗するんでしょ?」椎名カスミが冷ややかに言うと、ソウタは笑いながら反応した。「それがAIの面白いところだよな。完璧じゃないから、むしろ親しみが持てるんだ。」
「まあ、少なくとも私よりは仕事してるわね」とレイナはピコルを見て言う。
ユウマは楽しそうに言う。「ねぇ、俺もピコルに何か手伝ってもらおうかな!でも、俺はもっと面白いことがしたいな!」
その時、ピコルが意気込んで提案する。「明日の宿題のサポートをお手伝いします!私の得意分野です。」
「ほんとに!?それならお願い!」ユウマが明るく答えた。
しかし、ピコルが間違った情報を言ったらどうするか、それが心配なソウタはちょっと不安そうに見守っていた。
その日の放課後、ピコルが進化を遂げたらどうなるのか、ソウタはますます気になり始めた。そして、それが家族や友達との関係にもどんな影響を与えるのか、少しずつ予感していた。
家では、AIペットたちの手伝いが日常の一部になりつつあり、天宮家の生活は少しずつ変わり始めていた。それでも、カオリが本当にAIに頼りきるのか、ソウタはまだわからないでいた。