第1話「はじめまして、ピコル!」

プロットを細々と投稿したいと思います。

デジタマ! 〜AIペットがやってきた〜

第1話「はじめまして、ピコル!」


◇ プロローグ ◇

放課後の帰り道。どんよりと曇った空の下、天宮ソウタ(12歳)は憂鬱な顔をして歩いていた。

(はあ……また今日もひとりか。)

家に帰っても母は仕事でいないし、兄のシンジは自室にこもりきり。学校では、クラスメイトと話してもどこか噛み合わない。最近はスマホばかりいじって、現実から目を逸らすことが多くなっていた。

そんなとき—— 路地裏のゴミ捨て場で、妙な光を放つ卵型の物体を見つけた。

「……何だ、これ?」

拾い上げると、つるりとした金属の表面に、小さく「PICO-AI 01」と刻まれている。

「AI……?」

不思議に思いながらも、何となく持ち帰ることにした。


◇ 家にて ◇

ソウタの部屋。机の上に置かれた謎の卵型デバイス

「うーん……電源とか、スイッチとか……」

あちこちいじってみるが、反応はない。

「やっぱり壊れてるのか?」

ため息をついて放り出そうとした瞬間——

ピカッ!

突如、卵が発光し、宙に浮いた。

「うわっ⁉」

光の中から、小さな球体のロボットが現れる。

「ピコル、起動完了! ご主人、はじめまして!」

「……え?」

青白いボディに、光る大きな瞳。フワフワと宙を浮かびながら、ソウタの目の前でくるくると回る。

「え、ちょっと待って……おまえ、喋れるの⁉」

「うん! ピコルはPICO-AI型サポートユニット! 今日からご主人のサポートをするよ!」

「サポートって……俺、何も頼んでないけど?」

「大丈夫! ピコル、頼まれなくてもお世話しちゃう!」

「いや、勝手に決めんな!」

戸惑うソウタをよそに、ピコルは部屋の中を飛び回る。

「おお~、ここがご主人の基地かぁ! ちょっと片付けようね!」

ブイーン! 小さなアームが伸び、机の上のプリントや漫画が勝手に整理されていく。

「ちょっ、おい! 俺の部屋勝手に片付けるな!」

「だって、ご主人の生活をサポートするのがピコルのお仕事だから!」

「いらん世話だ!」

こうして、ソウタとピコルのドタバタな共同生活が幕を開けた。


◇ 翌日・学校にて ◇

「……それで、いきなりAIロボットが部屋に?」

幼なじみの久堂レイナが呆れた顔をする。

「うん。ほんとに、勝手に動き回ってさ……」

「またゲームのやりすぎで幻覚見てるんじゃないの?」

「違うって! マジでいるんだって!」

そう言った瞬間——

「おはようご主人! ピコル、学校についてきちゃった!」

「⁉」

気がつけば、ピコルがソウタのリュックからひょっこり顔を出していた。

「おいおいおい! なんでついてきた⁉」

「ご主人をサポートするため!」

「いや、学校はいいから帰れ!」

レイナは目を丸くしてピコルを見つめる。

「……ほんとに、動いてる……」

「だから言っただろ⁉」

「え、ちょっと可愛いかも?」

「可愛さの問題じゃなくて!」

だが、ピコルはお構いなしにレイナの肩に乗る。

「わーい! 友達! ピコル、新しい友達できた!」

「ちょっ……重いって!」

「レイナ、懐かれるの早すぎだろ!」

こうして、ソウタの日常は一変するのだった——。


◇ エピローグ ◇

その日の帰り道。

ソウタはピコルを連れてこっそり家へ帰ろうとするが……。

「ただいま……」

「おかえり、ソウタ。ん? なんだそれ?」

兄のシンジが、ピコルを見つめて眉をひそめた。

「いや、その……」

「……それ、PICO-AIシリーズじゃないか?

「知ってるの⁉」

「AI技術の研究で噂になってた。でも、まだ開発中のはず……お前、どこで手に入れた?」

シンジの言葉に、ソウタはギクリとする。

(開発中……? じゃあ、ピコルって本当はどこかの会社のもの……?)

しかし、そんな疑問をよそに——

「ご主人! 今日から楽しいAIライフの始まりだね!」

ピコルは元気いっぱいに笑っていた。

(こいつ、何者なんだ……?)

ソウタの中で、不安とワクワクが入り混じる。

——こうして、「AIペットとの奇妙な共同生活」が始まったのだった。

(第1話・完)